皆さん、お久しぶりです。
いかがお過ごしでしょうか。
度重なる緊急事態宣言の発令や延長によって私たちを取り巻く環境や私たち自身の行動も大きく変わったのではないでしょうか。
そのような状況の中、私はこれまで紹介してきた「ハームリダクション」という考え方への理解を少しでも深めるために、コロナ対策をしっかり行った上で「多摩大学ルール形成戦略研究所」主催のシンポジウムに参加してきました!
今回はそのシンポジウムに参加していた方々の紹介とその所感について、学生である私から皆さんに共有できればと思います!
これまでは加熱式タバコを例にハームリダクションを紹介してきましたが、今回の記事では食事や空気など、さまざまな視点でハームリダクションについての理解を深める事ができると思うのでぜひ最後まで目を通していただけると幸いです!
では、さっそく紹介をしていきますが、今回のシンポジウムは神奈川県川崎市の麻生市民館で開催され、会場には30代〜50代を中心とした方が足を運んでおり、適宜メモを取っているなどハームリダクションに強い関心を持っている方が多い様子でした。
時間は14:00〜16:30の約2時間30分で、①開会挨拶→②ハームリダクション政策についての説明→③「健康被害を低減する生活様式」のプレゼン→④閉会の順番で行われました。
この①〜④について、それぞれ私の所感を紹介していきたいと思います。
この開会挨拶には、自由民主党ルール形成戦略議員連盟の事務局長である中山のりひろさんが登壇し、今回のシンポジウムに対する意気込みやハームリダクションライフスタイルの概念に対する説明があった後、自由民主党ルール形成戦略議員連盟会長の甘利明さんからビデオメッセージがありました。
中山議員は、以前から女性や子育ての大変さを応える政策を推進を行うことに加え、インターネットテレビ局ABEMA内ニュースチャンネルのアベマプライムでも積極的に個人情報と表現の自由に対する自身の見解を発信していて、非常にしっかりした考えをお持ちであることは知っていたので非常に興味深くお話を聞くことができました。
その中山議員のお話の中で特に興味深くお話を聞くことができたのは、ハームリダクションとライフスタイルをかけ合わせた「ハームリダクションライフスタイル」という言葉の説明や、その言葉自体ができた背景の説明です。
中山議員曰く、昨今日本は平均寿命は上昇傾向にあるもの平均寿命と健康寿命には大きな乖離が存在し、高齢者になってから健やかにかつ豊かなに生活をおくれている人は少ないそうです。
その平均寿命と健康寿命の差をなくしていくために、中山議員は私がこれまでの記事で紹介してきた、特定の事柄に対しての害や悪影響を減らしていこう!という考えである「ハームリダクション」を日常生活の「ライフスタイル」に組み込む「ハームリダクションライフスタイル(HRL)」を普及させていきたいという意向を示していました。
つまり、健康寿命を伸ばすために、日々の生活に比べてよりストレスのかからない生活をおくり、健康寿命の最大の課題である生活習慣病のリスク軽減をしようということだと思います。
中山議員のお話の通り、厚生労働省のデータを見ると日本の平均寿命と健康寿命には約10歳前後の差があり、高齢者の多くが死を迎えるまでの10年間は自分の力だけでは生活が難しいことが予想されます。
この健康寿命の問題は高齢化社会を生きる私たちにとっては目をそむけていはいけない問題であると同時に、自分自身がいざ高齢者になったときには誰かに世話をしてもらう生活ではなく、自分の力で最低限の生活が贈りたいと感じました。
このような思いから私は中山議員の考えに深く賛同すると共に、自分自身がこのハームリダクションライフスタイルを日本に浸透させていくんだという当事者意識が芽生えました。
甘利会長のビデオメッセージでは中山議員と同じくハームリダクションライフスタイルの重要性に関するお話が中心でした。
甘利議員のメッセージの中で特に私が共感したのはハームリダクションライフスタイルの「世界標準化」です。
人類の課題である「少子高齢化」という問題を先進国の中で最も早く迎える日本がいち早くこの問題のソリューションを導き出し、そのソリューションを日本にだけ適用させるのではなく、後発的に問題を抱える国々対して提供していこうということです。
甘利さんのおっしゃる通り、私も深刻な少子高齢化という問題を最も早く迎えている日本だからこそその解決策を最も力を入れて取り組むべきだと思います。
その理由は、日本以外の國も少子高齢化に力を入れているといっても日本ほど深刻な國は数が少ないし、その問題に直面している國だからこその使命感や危機感を持って現実的な解決策を導き出していけると思うからです。
このハームリダクション政策についての説明に関しては、多摩大学ルール形成戦略研究所・所長の國分俊史所長から具体的にハームリダクションライフスタイルをいかに、日本あるいは世界に浸透させて行くのかについての説明をしていました。
日本あるいは世界にハームリダクションライフスタイルをいかに浸透させるか、その方法はずばり「中国との連携」だと発言していました。
ここで、なぜ中国なの?って思った方は私だけではないはずです。
高齢化社会と言われている日本ですが、実は中国のほうが日本よりも深刻な超高齢化社会なんです。
数値的な例を出すと、中国が現在60歳以上の人口が2.5億人に達しており、世界の60歳以上の人口がいる國ランキングで1位であるのに加え、中国全体の社会保障費が高齢者に対して12%しか充てられていないのです。(日本は33%)
この事実から予測すると、多くの高齢者を抱えているにも関わらず、ほとんどの高齢者の方が真っ当な保証を受けていない事が考えられます。
このように、日本と同じくして大きな課題を抱えている中国だからこそ連携を取り、ハームリダクションライフスタイルを浸透させていく計画、つまり「ハームリダクションプロダクト」を行うべきだ。というのが國分所長の意見です。
しかし、このハームリダクションプロダクトで健康被害を低減する生活を取り入れる中で課題となる問題があります。
それは「薬機法」と「健康増進法」です。
「薬機法」は薬物基本法の略で、医療行為で使用できないレベルの食品は、科学的根拠があったとしても効果効能や健康被害の度合いを表示できないものです。
また、「健康増進法」は薬機法と被る部分がありますが食品について、科学的根拠があったとしも効果効能の表示ができないというものです。
この2つの法律が存在することで健康被害を低減させる選択肢が生活の中で狭まり、結果としてプロダクトの浸透の妨害となっているのです。
そこで、國分所長は「中国との連携」と合わせて生活における”ハーム(健康被害)”を”リダクション(軽減)”する「新たなルール形成」が必要だと提言しています。
この新たなルールに関してはまだ検討段階ではあるそうですが、現時点ではハームリダクションプロダクトを行うことで「税額控除される仕組み」を検討しているそうです。
具体的にはトクホなどの健康商品を買った場合にはマイナンバーを介して購買データが蓄積され、そのデータを年末控除の際に提出すると税額が控除される仕組みです。
この仕組みについてはまだまだ検討の余地がある部分は多いとはありますが、非常に面白みのある案で、もしこの仕組が導入された場合にはぜひ活用して自分自身の健康寿命を延ばしていきたいと思いました。
また、余談として國分所長のお話の中で、アメリカの一部の企業では部下の人事評価の際に健康に向けた取り組みを行った人は加点されるという人事評価制度を導入しているそうなので、ここから世界が健康に対して真剣に向き合っていることがわかりますし、近い未来日本も同じような人事評価制度ができるかもしれないのでこれからの日本に注目したいですね!
このセクションでは合計7社の会社(江崎グリコ、パナソニック・アプライアンス、日本疾病予測研究所、味の素、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン、日本航空、クォンタムオペレーション)が参加し、それぞれが「健康被害を低減する生活様式への取り組みと課題」について10分間のプレゼンを行っていました。
1つ1つ紹介すると長くなるのでこの7社の中で特に私が印象深かった3つの会社のプレゼンを簡単に紹介したいと思います。
1つ目の会社はパナソニック株式会社です。
パナソニックでは「空気」という観点でハームリダクションを実現していく意向を示していました。
今まであまり意識したことがなかった空気ですが、実は人間というのは1日に18キロもの空気を取り込んでおり、食べ物の1.3キロ、水の1.2キロに比べるとどれだけ重要かがわかりますよね。
その大切な空気という要素に対してパナソニックでは「ナノイー」という微粒子イオンを利用して空気をキレイにし、健康被害を低減させていくことを発言していました。
今までにない「空気」という視点が非常に新鮮味があり、興味深いプレゼンでした!
2つ目の会社は江崎グリコ株式会社です。
グリコでは「食」を通じて生活習慣病リスクを低減させ、ハームリダクションライフスタイルに寄与していく意向を示していました。
具体的にはグリコの商品にある「SUNAO」という商品を例にどれだけ既存のアイスクリーム商品と比べて体に対する悪影響がないかをプレゼンしていました。
ハームリダクションと非常に親和性が高い「食」に関するプレゼンであったため、みなさんに共有させて頂きました。
3つ目の会社はブリティッシュ・アメリカ・タバコ・ジャパン合同会社です。
BATはこれまで私の記事で紹介してきた「タバコ」を通じて健康リスク低減に貢献していく姿勢を示していました。
これまで何度も加熱式タバコを例にハームリダクションを説明してきたのでご理解頂いている方もいるかと思いますが、改めて説明をすると、タバコに関しては紙巻きタバコから加熱式タバコに切り替えることで健康被害の低減に繋がるといえます。
現にBATのプレゼンでも紙巻きタバコから加熱式タバコに変えることで健康への被害を低減しているというデータも示されていました。
今まで紹介してきたことに加え、加熱式タバコに関心を寄せる皆様に是非知ってもらいたいということで取り上げさせてもらいました。
閉会に関しては國分所長と中山議員が対談形式で今回のシンポジウムのまとめを行っていました。
このまとめの場において、中山議員は改めてこのハームリダクションプロダクトを行う上での「新たなルール形成」の必要性を主張していました。
というのも、日本は医療に対して非常に厳格になっており、医療に関する商品に関してはさまざまな審査をクリアすることは求められていて、その審査自体が国民の安心感につながっている一方で、その厳格さのあまり薬機法などによって日常生活のなかで商品自体の効果効能が分かりづらいことが考えられます。
そこで、ハームリダクションプロダクトを推進・浸透させていくなかでは健康被害を低減させるライフスタイルを構築しやすくするための「新たなルール形成」が必要だと提言していました。
この中山議員の発言に対して國分所長は日本の医療の厳格さが現れている最も印象的な例を出しつつ、これからの取組みについて発言していました。
まず、日本の医療の厳格さが現れている最も印象的な例とは「歩くことの良さを国民に伝えることができないこと」です。
これは日本航空株式会社のプレゼンの中でお話をされていたのですが、日本航空では旅行をする前提として健康状態が良いことを考えており、歩くとマイルがたまるサービスを展開しています。
その目的としては根幹には先程紹介した通り、国民に健康になってほしいという思いがあるのですが、日本の法律上歩くことが健康に繋がることを前向きに発信できないという規制があり、十分に顧客と意思疎通できていない状況が生まれています。
この問題に対し、國分所長は中山議員と同様に「新たなルール形成」の必要姓を主張していました。
さらに、國分所長はまだ不明確となっている「新ルール」の内容について引き続き多摩大学と連携を取りながら決定していきたいと発言していました。
今回のシンポジウムを通じて、私は少子高齢化問題を抱える日本は高齢者の健康寿命に対してもっと目を向け、その健康寿命改善の施策として「新たなルール形成」を前提としたハームリダクションプロダクトの進めて行く必要があると感じました。
その背景として日本が先進国になかで存在感が徐々になくなってきていることがあります。
なぜなら、アメリカや中国の人口が拡大し続け、経済や國としての規模も拡大している一方で、日本は人口が減少しており、経済も縮小し海外から参入する企業も減少しているからです。
私はこのような状況に非常に危機感を感じていると共にこの現実を打破しなければならないという使命感を強く感じています。
そこで今の日本が行うべきこととしては中山議員や國分所長が提唱するハームリダクションプロジェクトに向けた「新たなルール形成」だと考えています。
日本がいち早くこのプロジェクトを進行させ、そこで培ったノウハウを今後この問題に直面する国に対して提供することで日本の「国際的プレゼンスの向上」に繋がると私は考えています。
このプロジェクトに国を代表する企業が次々と関心を寄せ、活動を広げている中で、「タバコ」という観点で加熱式タバコを通じて自分自身の健康を考えているみなさんはまさに時代の最先端に位置していると私は思います。
そんな読者のみなさんがこの記事を通して、タバコだけでなく食事などの様々な面でより健康的な選択肢を考えるようになり、ハームリダクションに対してさらに関心を持っていただけると嬉しいです。